「看護師は腰痛・ヘルニアがあると転職は難しいかな?」
「腰痛やヘルニアがある看護師が働ける転職先はある?」
看護師の職業病とも言われている腰痛。
ヘルニアを発症している人もいますよね。
でも、職業病だからと言って、そのままにしておいてはいけません。
腰痛・ヘルニアを甘く見ていると、今以上に悪化して、日常生活に影響が出るかもしれません。
ヘルニアで手術をしたり、休職したり、看護師の仕事を辞めざるを得なくなったりした人も少なくないんです。
あなたも「今のままではいけない!」、「腰痛・ヘルニアを悪化させたくない」と思ったから、転職を考えているんですよね。
大丈夫!
腰痛やヘルニアがあっても転職できます。
腰痛やヘルニアがあっても働ける転職先を症状別に紹介します。
また、腰痛やヘルニア持ちの看護師が転職する時の注意点も説明していきます。
これを読めば、腰痛・ヘルニア持ちでも不安なく転職できて、腰に負担をかけずに働くことができますよ。
目次
あなたの腰痛はどの症状?
看護師は腰痛持ちの人がとても多いです。
日本医療総合研究所の「急性期一般病院における看護職員の腰痛・頸肩腕痛の実態調査」によると、看護師になってから腰痛を経験したことがある人は85.6%もいます。
ほとんどの看護師は腰痛を経験しているということですね。
現在腰痛がある人は68.1%、ここ1年腰痛があった人は76.1%となっています。
現在腰痛があると答えた約7割の人は症状によって3つのレベルに分けることができます。
あなたの腰痛の症状はどのレベルでしょうか?
- 高レベル=常に強い痛みがあり、動くだけで痛い、歩くのがやっと、ヘルニア
- 中レベル=常に痛みがあり、歩くことはできても、長時間歩きまわるのは辛い
- 低レベル=かがんだり、重いものを持ったりすると痛い
中レベルの人が最も多く、次が低レベルで、割合的には高レベルは最も少ないです。
現実問題として、高レベルの腰痛・ヘルニアになると、臨床現場では働けないので離職している人も多いですね。
腰痛の症状のレベルによって、選ぶべき転職先は変わってきます。
看護師が腰痛・ヘルニアで転職する時の症状別おすすめの転職先
看護師が腰痛やヘルニアで転職する時のおすすめの転職先を症状別に紹介します。
- 高レベル(動くだけで痛い)
- 中レベル(歩き回るのは辛い)
- 低レベル(かがんだり重いものを持つと痛い)
どのくらい腰が痛いのかによって、選ぶべき転職先は変わります。
ただ、中レベルの人は高レベルの転職先も選べますし、低レベルの人は中レベル+高レベルの転職先を選ぶことができます。
転職先の選択肢としては、かがむと腰が痛い>中程度>重度ということになります。
高レベルの腰痛&ヘルニアの人
高レベルの腰痛やヘルニアに悩んでいる看護師は、できるだけ腰に負担をかけずに働ける転職先を選びましょう。
具体的には、座ってできる仕事です。
腰痛やヘルニアに苦しんでいる人は、「立っているだけで辛い」、「少し動くだけでも辛い」ですよね。
だから、できるだけ動かずにできる仕事を選ぶべきです。
「座ってできる看護師の仕事なんてあるの!?」
と思うかもしれませんが、実はあるんです。
産業看護師
重度の腰痛やヘルニアがある人は、産業看護師がおすすめです。
産業看護師は社員の健康管理をする仕事ですね。
産業看護師はデスクワークが多いですから、腰痛やヘルニア持ちの人にはおすすめです。
産業看護師の注意点
産業看護師はデスクワークは多いです。
ただ、ずっと座っていられるわけではなく、社内を巡回したり、地方の支社・工場・営業所に出張したりすることもあります。
これらの業務がどのくらいの頻度であるのか、自分の腰で耐えられるのかを確認しておいた方が良いでしょう。
コールセンター
コールセンターの仕事も、重度の腰痛やヘルニア持ちの看護師にはおすすめです。
健康食品会社や健康器具会社、保険会社、医療機器メーカーのコールセンターの仕事は看護師資格・看護師経験を活かせます。
健康相談や自社製品の使用方法などの相談に電話で対応します。
コールセンターでは基本的にずっと座って電話を受けますので、腰への負担はかかりません。
コールセンターの注意点
コールセンターは座って仕事ができます。
ただ、逆に仕事をしている間は席を立つことができません。
電話がひっきりなしにかかってくるような忙しいコールセンターなら尚更ですね。
ヘルニアの人の中には、長時間座っていられないという人もいます。
そのようなタイプの人には、コールセンターは辛いかもしれませんので、忙しさなどは調べておくべきです。
治験コーディネーター&臨床開発モニター
重度の腰痛や腰痛の看護師は、治験業界で働く治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)の仕事もおすすめです。
CRCやCRAはデスクワークが中心ですので、腰への負担は少なくて済みます。
治験コーディネーター&臨床開発モニターの注意点
治験コーディネーターや臨床開発モニターは治験を行う医療機関を訪問することも少なくありません。
社用車で移動するなら、それほど腰への負担はないでしょう。
でも、公共交通機関を使って移動する場合、腰への負担がかかる可能性がありますので、その点は確認しておくべきです。
中レベルの腰痛の人
中レベルの腰痛の人は、次のような転職先がおすすめです。
- 座りっぱなしではない
- 勤務中に歩き回ることが少ない
腰痛があると、病棟内を歩き回るのは辛いですよね。
だから、座りっぱなしとはいかなくても、歩き回らずに済む転職先を選びましょう。
クリニック
中レベルの腰痛の看護師が転職するのにおすすめなのは、クリニックです。
もちろん、無床のクリニックですね。
クリニックなら、病棟ほどスペースが広くありません。
また、ADLは自立の人が多いので、そこまで介助が必要な患者さんは多くありません。
だから、中程度の腰痛がある看護師さんでも、腰への負担は少なく働くことができます。
クリニック選びの注意点
中レベルの腰痛がある看護師さんは、クリニックならどこでも転職して良いというわけではありません。
次のようなクリニックはおすすめできません。
- 点滴や採血、処置、レーザー照射などの医療行為が多い
- オペがある
- 高齢者や子供の患者が多い
- 大きなクリニック
点滴や採血は中腰になることが多いので、腰に負担がかかります。
処置やレーザー照射なども同様です。
オペ介助は動きませんが、長時間ずっと同じ場所で立ちっぱなしになるので、腰への負担は大きいです。
また、手術台への移動介助が必要なこともあります。
高齢者や子供の患者が多いと、介助が多くなるので、これも腰に負担がかかります。
大きなクリニックだと、クリニック内を歩き回る距離が増えるので、腰痛持ちの看護師には辛いでしょう。
これを考えると、腰痛やヘルニア持ちの看護師が転職するなら、次の条件を満たすクリニックがおすすめです。
- 中腰になる処置が少ない診療科のクリニック
- オフィス街や繁華街のクリニック
- ビルに入っているクリニック
中腰になる処置が少ない診療科には、眼科や耳鼻科、精神科・心療内科などがあります。
オフィス街や繁華街のクリニックはビジネスマンや学生などが多く、高齢者や子供は少ないので、介助はほぼありません。
ビルに入っているクリニックはクリニックの床面積が狭いので、歩き回る距離が少なくて済みます。
これをまとめると、オフィス街や繁華街のビルインの眼科や耳鼻科、精神科・心療内科などクリニックが、中レベルの腰痛・ヘルニア持ちの看護師の転職にはおすすめです。
低レベルの腰痛の人
普段はそれほど腰痛を感じないけれど、かがんだり、中腰になったり、重いものを持ったりすると腰の痛みを感じるという看護師さんは少なくありません。
その状態を放っておくと、あなたの腰痛はさらに悪化します。
だから、できるだけ腰への負担が少ない職場に転職しておきましょう。
普段は腰の痛みはそれほどないけれど、中腰になったり、重いものを持ったりするのが辛いという看護師の場合、介護・介助・トランスなどの仕事ができるだけ少ない職場に転職すればOKです。
比較的楽な病棟
かがむと腰が痛い看護師は、比較的楽な病棟への転職をおすすめします。
自立の患者が多く、トランスや介護の必要がない病棟なら、腰への負担は軽減され、無理なく働くことができます。
- 血液内科病棟
- 慢性期の精神科病棟
- 眼科病棟
- 耳鼻科病棟
これらの病棟だと、自立した患者が多いので、体位交換やオムツ交換、車椅子へのトランスなどは少ないので、軽い腰痛があっても、無理なく働けます。
病棟選びの注意点
自立患者が多いなら、どこでもOKというわけではありません。
例えば、産科病棟。
産科病棟は褥婦は自立していますが、新生児の沐浴などで中腰になることが多く、腰に負担がかかりますので、注意が必要です。
介護施設
介護施設もかがむと腰が痛い看護師の転職先にはおすすめです。
介護施設は介護士がいますので、看護師は介護業務をやらなくて良い、もしくは介護業務は必要最低限のみというところが多いです。
介護施設は看護師の配置数が少ないため、施設内を歩き回らなくてはいけませんが、力仕事はありません。
特に、サービス付き高齢者向け住宅は自立の入居者が多いのでおすすめです。
介護施設選びの注意点
軽めの腰痛を持つ看護師が転職するなら、介護施設はおすすめです。
ただ1つ、絶対に注意しなければいけないことがあります。
それは、看護師の業務範囲です。
介護施設には介護士が多く配置されています。
これは間違いありません。
ただ、介護施設によっては看護師も介護業務をしなければいけない所があります。
私が働いていた介護施設では、看護師は介護業務を一切しなかったので、体力的にはとても楽でした。
初日には先輩看護師に「絶対に介護業務をしないで。きっちり線引きしないと、キリがないから」と注意されたほどです。
でも、介護施設の中には看護師も介護業務をしなければならない所があるのは事実です。
そのような介護施設に腰痛持ちの看護師が転職すると、腰痛が悪化しかねません。
だから、あらかじめ看護師の業務範囲を調べておいて、介護業務の有無を確認してから転職しましょう。
看護師が腰痛・ヘルニアで転職するのにおすすめできない転職先
看護師が腰痛・ヘルニアで転職する場合、腰に負担がかからない転職先を選ばなければいけません。
転職先はいろいろありますが、一見腰に負担がかからなくて、腰痛やヘルニア持ちに向いているように見える職場でも、実はかなり腰に負担がかかるという職場があります。
間違って転職しないように注意しておきましょう。
健診センター
健診センターの看護師の業務は採血が多いです。
だから、そんなに歩かないし、座っている時間も多いです。
でも、採血する時は中腰になります。
中腰って、腰への負担が大きい姿勢ですよね。
だから、健診センターは腰痛・ヘルニア持ちの看護師にはおすすめできません。
外来
病棟がダメなら、外来が良いのでは?と思う人も多いと思います。
外来は自立した患者が多いですが、高齢者が多いため、介助が少なくありません。
また、病院内を忙しく歩き回る、時には走り回ることもあります。
だから、腰痛持ちの看護師には辛い職場です。
特に、総合病院の外来は、ローテーションでその日の朝にどの診療科を担当するかが決まる場合があります。
放射線科(レントゲン室)担当になったら、介助ばかりで、腰痛は悪化することになりかねません。
療養型病棟
療養型病棟は介護士がいて、体位交換やオムツ交換、清拭などの力仕事は介護士がやってくれることが多いです。
だから、腰痛持ちの看護師でも大丈夫と思われがちです。
でも、私の経験では療養型病棟は寝たきりの患者さんが多く、痰の吸引で前かがみの中腰になることが多くて、結構腰に負担がかかります。
だから、腰痛持ちの看護師さんの転職先にはおすすめできません。
看護師が腰痛やヘルニアで転職する時の注意点
看護師が腰痛やヘルニアで転職する時の注意点を見ておきましょう。
腰への負担をが最優先
転職理由が腰痛やヘルニアなら、腰への負担が少ないことを最優先に考えて、転職先を決めましょう。
転職先を探していると、給料や待遇などが気になって、腰への負担がいつの間にか後回しになっていることがあります。
給料や待遇も大切ですが、まずは腰への負担が少ないこと。
腰痛を悪化させないことを第一に考えるようにしましょう。
最初はパートもあり
腰痛やヘルニアが原因でブランクがある人や「腰痛でも本当に働けるのかな?と不安がある人は、最初はフルタイムではなく、パートで働くことも選択肢に入れておきましょう。
腰痛やヘルニアでブランクがある人は、お休みしていた間は腰に負担をかけないために、安静にしていたと思います。
ということは、体力が落ちているし、腰周辺の筋力も衰えています。
そんな状態で、いくら腰に負担が少ないと言っても、フルタイムで働いたら、腰痛が悪化するかもしれません。
少しずつ慣れていくようにすれば良いのですから、パート勤務から始めて、様子を見ながら、勤務時間を伸ばし、自信がついたら常勤として働くのもありですよ。
ノーリフトはどこまでノーリフトかを確認
最近は「ノーリフト(持ち上げない・抱え上げない)」の理念を掲げる病院・介護施設が少しずつ増えてきています。
ノーリフトの病院や施設なら、腰への負担は少ないので、腰痛やヘルニアの看護師にはおすすめの転職先です。
ただ、どこまでノーリフトを実践しているのかは職場によって異なります。
ノーリフトのための器具が必要十分に揃っているとは限りません。
また、体位交換やオムツ交換の時にはどうしても腰への負担は大きくなります。
だから、「ノーリフトなら腰への負担はない!」と安心せずに、細かいところまで調べておいた方が安心です。
腰痛・ヘルニアを告げたほうが良い
腰痛やヘルニアで転職する看護師の中には、ヘルニアの手術をしたり、休職したりした人も多いと思います。
そういう場合、ヘルニア持ちであることは面接の時点で告げておきましょう。
ヘルニア持ちでも採用してくれるようなところなら、安心して働けますし、職場でも気遣って、腰への負担が大きい仕事は代わってくれるはずです。
「ヘルニアって言ったら、採用されないかも」という不安があるかもしれませんが、その理由で採用しないような職場はブラックです。
ヘルニア持ちであることを告げずに採用してもらっても、転職後に腰への負担が大きい仕事を任されて、腰痛が悪化することは目に見えています。
だから、重度のヘルニア・腰痛を抱えている看護師は、最初にヘルニアであることを告げておいた方が良いです。
看護師が腰痛やヘルニアで転職するなら転職サイトを使おう!
看護師が腰痛やヘルニアで転職するなら、転職サイトを使って転職することをおすすめします。
自力で転職したら、転職に失敗する可能性が高いからです。
ここまでおすすめの転職先や注意点などを述べてきましたが、あらかじめ調べておかないといけないことがたくさんありましたよね。
- 産業看護師は社内巡回や出張の頻度
- コールセンターは忙しさの度合い、座りっぱなしの時間
- 治験業界は外回りの頻度や交通手段
- 病棟やクリニックは中腰になる機会が多いかどうか
- 介護施設は看護師の業務範囲
転職サイトを使えば、転職コンサルタントがあなたに代わって詳しく調べてくれます。
クリニックに転職したいなら、「オフィス街や繁華街になるビルインのクリニックの中で中腰の処置が少ないところ」のような条件のところをすぐに紹介してくれます。
配属交渉をしてくれますので、腰への負担が少ない病棟への配属を確約してもらえるんです。
ノーリフトの度合いやヘルニアでも採用してくれるかどうかをあらかじめ調べてくれますよ。
腰痛やヘルニア持ちの看護師さんは、転職サイトを使えば、安心して転職できて、腰に負担がかからない転職先で働けますよ!