看護師で管理職を目指している人はいませんか?主任や看護師長などの管理職を目指したいあなたのために、管理職の給料・年収、役割、なる方法などをまとめました。看護管理の道を究めたい人は必見です。
目次
看護師が管理職になると、給料はどのくらいになる?
看護師が管理職になると、給料はどのくらいになるのでしょうか?看護師の管理職の給料・年収を日本看護協会の「2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書」のデータをもとに見ていきましょう!
主任の給料・年収
まずは、主任の給料・年収からです。看護師が主任になる年齢は30~35歳前後になると思います。
- 基本給の平均=32万7,143円
- 役職手当=2万6,159円(データがないので副看護師長相当)
ボーナスは3ヶ月分と考えると、主任の年収は522万1,053円となります。この年収には住宅手当や通勤手当、夜勤手当などが含まれていないので、実際の支給額はもう少し高くなると思います。
ただ、主任になると、役職手当がつく分、残業手当はつかなくなります。さらに、夜勤回数が減るので、スタッフの時と比べて、給料がやや下がってしまうというケースも少なくありません。
看護師長の給料・年収
次に、看護師長の給料と年収を見ていきましょう。
- 基本給の平均=37万949円
- 役職手当=4万5,439円
ボーナスを3ヶ月分とすると、看護師長の平均年収は610万9,503円です。
これも、実際の支給額はもっといろいろな手当がつくはずですので、もう少し高くなると思います。実際は650~700万円程度が平均年収と予想できます。
看護師長になると、夢の600万円を超えることができるんですね。
看護部長の給料・年収
最後に看護部長の給料・年収です。看護部長は、管理職を目指す看護師の最終目標と言える役職です。
- 基本給の平均年収=42万7,573円
- 役職手当=8万1,307円
ボーナスを3ヶ月分と考えると、看護部長の平均年収は738万9,279円となります。この平均年収を見ると、管理職になって看護部長まで上り詰めると、ガッチリ稼ぐことができることがわかりますね。
看護師の管理職としての役割
看護師の管理職としての役割には、どんなものがあるのでしょうか?スタッフとして働いていると、看護師の管理職の仕事や役割があまりよくわからないと思います。
看護師の管理職の役割を役職ごとにまとめました。副師長や副主任の役割は、それぞれ師長や主任の補佐になります。
主任の役割は現場のまとめ役
まずは主任の役割からです。主任看護師の役割は、簡単に言うと、現場のまとめ役になります。
寺岡三左子「主任看護師が捉えた主任としての役割」によると、主任看護師の役割は次の4つがあります。
- 師長とスタッフをつなぐ
- 現場を仕切る
- 働きやすい環境をつくる
- 看護師としての専門職業人を育てる
主任は管理職ながら、一番スタッフに近い存在です。また、師長や部長に比べて、ケアに参加する機会も多いです。
そのため、スタッフの看護師の気持ちや考えをくみ取り、それを師長に伝えたり、逆に師長の考えを現場に伝えたりする役割があります。
また、実際に現場の看護師を直接指導して、スタッフの看護師のスキルアップを図ることもあります。主任看護師の目標は、現場をまとめつつ、師長の考えや方針を実践していくことと言えるかもしれません。
看護師長の役割は部署全体のマネジメント
次に看護師長の役割を見ていきましょう。看護師長の役割は部署全体のマネジメント、つまり看護師長の役割は部署の管理です。
- 病院や看護部の方針をもとに部署の目標を設定・達成する
- 部署の看護師育成の計画立案
- スタッフ看護師が働きやすい部署づくり
- スタッフ看護師の健康管理
- 患者や家族からのクレーム対応
主任看護師がスタッフと師長の橋渡しだったのに対し、看護師長は病院と部署の橋渡し役になります。
部署全体のことを考え、病院や看護部の方針を考慮しながら目標を設定し、達成するための年間計画の立案やシステム作り、環境整備を行います。
また、スタッフの看護師が働きやすいような環境づくりを行い、病棟での看護がスムーズに、効率よく行われるようにしなければいけません。
看護部長の役割は施設や看護部の運営
最後に、看護部長の役割をご紹介します。看護部長は看護部の一番頂点に立つ存在であり、病院や施設の運営にかかわっていく役割があります。
- 病院や施設の方針を看護部として達成するための目標設定や計画立案
- 看護職員の採用計画の立案
- 看護部の教育計画の立案
- 他病院、施設との連携、協力、交渉
看護部長は、臨床現場に出て患者に接する機会は少ないですが、経営・運営側として現場の看護師が働きやすいように、成長していけるように環境を整えることが重要な役割になります。
病院や施設の方針や目標を院長や事務長等と設定し、看護部としてどのようにその方針や目標を達成するのかを考えなければいけません。
看護師が管理職になるには積極的に研修に参加しよう!
看護師が管理職になるには、どうしたら良いのでしょうか?看護師の管理職は、主任になることからスタートになりますがが、「主任になりたい!」と言ったからといって、「じゃあ、どうぞ。あなたは今日から主任です。」というわけにはいかないのです。
看護師が管理職になるには、積極的に研修に参加していく必要があります。
まずは院内研修からスタート
看護師が管理職を目指すなら、まずは主任にならなければいけません。主任になるには、看護管理の院内研修に積極的に参加しましょう。
管理職になるためには、どんなに採血がうまくても、どんなに急変に冷静に対応できても、リーダーシップがないといけません。また、周囲のスタッフ看護師と円滑にコミュニケーションを取れるようにならないといけないのです。
管理職は、看護師に必要なスキルとはまた違ったスキルを要求されます。管理職に必要なスキルを院内研修で学び、日々の業務の中で意識しながら使っていくと、師長も「この人は管理職に向いているな」と思ってくれます。
また、師長の面談などで管理職になりたいことを伝えておくと、主任のポストに空きが出た時に、師長があなたを推薦してくれるはずです。
学会や外部研修に参加
看護師の管理職は、主任になったらそれで終わりというわけではありません。どんどんスキルアップをして、看護師長、看護部長を目指していきましょう。
スキルアップしていくためには、日本看護管理学会の学術集会や都道府県の看護協会で行われている看護管理の研修に参加していきましょう。
学会や外部研修に積極的に参加していくことで、さらなるスキルアップができるだけでなく、横のつながりを持ち、人脈を広げることができます。
管理職になったら、自分の職場だけでなく、横のつながりを広げて人脈を築いていくことで、将来的にヘッドハンティングされて、良い条件の職場で管理職として働けるチャンスも出てくるのです。
認定看護管理者の研修は職場のサポートが必須
看護師が管理職として、どんどん上を目指していくなら、日本看護協会が認定している認定看護管理者の研修を受けることは、もはや必須と言っても良いでしょう。
認定看護管理者は、管理者として優れた資質を持ち、創造的に組織を発展させることができると認められた看護師のことです。つまり、看護管理のプロのことです。
看護師長をゴールとするなら、認定看護管理者の資格取得はそれほど必要ないかもしれません。でも、看護師長よりもさらに上、副看護部長や看護部長、さらに副院長まで目指すつもりであれば、認定看護管理者の資格は取っておくべきです。
認定看護管理者の研修は、ファーストレベルからサードレベルまで3段階に分かれています。ファーストレベルは150時間、セカンドレベルは180時間、サードレベルは180時間の研修を受ける必要があります。
合計で510時間の研修を受けるのは、職場のサポートが必要不可欠です。資格取得支援制度を利用して、認定看護管理者の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか?
また、認定看護管理者は看護系大学院で看護管理の修士課程を修了し、実務経験が3年以上あったり、師長を3年以上経験して、看護系大学院で看護管理の修士課程を修了する道もあります。
大学院でみっちり学びたいという人は、認定看護管理者の研修を受けるのではなく、看護系大学院で看護管理を専攻するのも良いでしょう。
看護師が管理職として上を目指すなら、大病院VS中小病院どっちが良い?
看護師が管理職として、どんどん上を目指していく場合、どんな病院で管理職を目指すと良いのでしょうか?
大病院で昇進を目指すべきか、中小病院で目指すべきか、それぞれのメリットとデメリットを比べてみましょう。
大病院はエリートだけど競争率高し!
まずは、大病院で管理職を目指す場合です。大病院で管理職を目指すメリットは、エリート感があることと、給料が高いことです。
大病院で管理職になると、やはりネームバリューが違いますよね。周囲の人から「あの有名な病院の管理職なの!?すごいわねぇ!」と思われますし、看護師の管理職としてエリート街道を歩んでいるのは間違いありません。
ただ、大病院で管理職になり、上を目指すとなると、競争率が高いです。主任までなら、それほど難易度は高くありませんが、師長は研修に参加してやる気をアピールをしていればなれるというものではありません。
大病院の看護師は、みんなモチベ―ションが高く、管理職を狙っている人が多いですから、競争率が高いのです。
さらに上の看護部長を目指すとなると、かなりの狭き門になりますので、頑張ったけれど、定年間際にようやく師長になれて終わりのこともあります。
師長にすらなれないこともあるでしょう。
中小病院はタイミングさえ合えば可能性&自由度が高い
次に、中小病院で管理職になるメリットとデメリットです。中小病院は、タイミング次第です。お局看護師や看護部長や看護師長として、長年君臨することもありますが、その人が辞めた後は空席になります。
その時に、あなたが主任だったり、管理職として転職してきたら、一気に昇進の道が開けます。
また、中小病院は昇進にはそれほど興味のない看護師が多く、競争率は高くありません。また、人手が足りないために、管理職が空席になっていることも多いんです。
もう1つのメリットは、自由度が高いことです。大病院はマニュアルやシステムがガチガチに決められているのですが、中小病院は緩いことが多いので、あなたのやりたいような病棟運営をしていくことができることが多いです。
ただ、やはり「エリート」とは言えませんし、大病院と比べると、給料水準はやや下がってしまいます。
まとめ
看護師の管理職の給料や役割、なり方などをまとめました。今から管理職を目指したい人は、ハッキリ言えば、中小病院で目指したほうが良いと思います。
大学病院や公立病院のような大病院は、新卒で入職後一度も転職せずに、ずっと同じ職場で働いてきた人、つまり生え抜きの看護師しか上を目指せないことが多いです。
でも、中小病院なら、転職組にもチャンスはあります。ただ、中小病院で管理職を目指すなら、タイミングが本当に重要です。
タイミング次第では、とんとん拍子に昇進していくことができますが、タイミングが悪ければ、なかなかポストに空きが出ずに、スタッフ看護師としてくすぶったまま、時間だけが過ぎていくことも十分にあるんです。
管理職として転職したい人は、転職サイトを利用すると良いでしょう。
管理職の求人は、基本的に非公開求人になっています。なぜなら、管理職の求人を出すということは、「うちの病院は管理職になれる看護師がいません!」と人材不足であることを周りにアピールしているようなものなので、病院側としては体裁が悪いのです。
そのため、非公開求人にして、限られた人にしか管理職の求人を出していることをわからないようにしていることが多いんですね。
非公開求人はハローワークやナースセンターでは扱っていません。転職サイトでのみ扱っているんです。だから、管理職の求人を探すなら、転職サイトに登録して、担当コンサルタントに相談するのが一番の近道です。
また、管理職を目指す人も、転職サイトで中小病院の求人を探しましょう。転職サイトを使うと、担当コンサルタントが管理職のポストに空きがあるか、今管理職の人は定年までどのくらいあるのかなどを調べてくれます。
また、コンサルタントの方から、「管理職を目指している方です」と病院側に口添えしてくれるので、管理職になるチャンス、さらに昇進するチャンスが多くなるんです。