看護師が介護施設に転職するなら、介護施設の仕事の特徴やメリット、デメリット、介護施設に向いている人、介護施設に転職する時の求人選びの注意点を知っておく必要があります。
これらのことを知っておかないと、介護施設に転職しても、「転職しなければ良かった」とか「違うところへ転職すれば良かったかも」など後悔することになりかねないのです。
目次
看護師が介護施設に転職するなら、介護施設の仕事の特徴を知っておこう
看護師が介護施設に転職するなら、まずは介護施設がどんなところなのか等の介護施設の仕事の特徴を知っておきましょう。
介護士と働くのが、介護施設の仕事の特徴
介護施設の仕事の特徴の1つ目は、介護士と働くことです。介護施設にはたくさんの介護士が働いています。
介護士は利用者さんの最も近くで働いていますので、利用者さんの変化等をよく知っていますから、介護施設では看護師は介護士と密に連携を取って働く必要があるのです。
健康管理が主な仕事となるのが、介護施設の仕事の特徴
介護施設の仕事の特徴の2つ目は、看護師の仕事は医療行為がなく、健康管理が主になることです。
介護施設では、看護師は利用者さんのバイタルサインのチェックや服薬管理、皮膚の処置、排便管理などを行いますので、病院のような医療行為はありません。
医師が常駐していないのも、介護施設の仕事の特徴
介護施設の3つ目の仕事の特徴は、医師が常駐していないことです。平日の日勤帯だけ医師がいる介護施設もありますし、常勤医師がいない介護施設もあります。
看護師が介護施設に転職するなら、4つのメリットを知りましょう
看護師が介護施設に転職した場合、4つのメリットがあります。4つのメリットとは何かを1つ1つ見ていきましょう。
体力的に楽なのが、介護施設のメリット
看護師が介護施設に転職した場合のメリットの1つ目は、体力的に楽であることです。
介護施設では介護士がいるため、看護師は看護業務に専念することができます。
排泄介助や移動介助などの力仕事は、介護士さんの担当になりますので、介護施設では看護師は健康管理に関する看護業務を行えば良いんです。そのため、体力的に楽に働くことができるんですね。
医療行為がほとんどなく精神的なプレッシャーがないのが、介護施設のメリット
精神的なプレッシャーが少ないことも、介護施設に転職するメリットの1つです。
介護施設では医療行為はほとんど行いませんので、「命に関わる仕事をしている」、「これをミスしたら、患者さんは死んでしまうかも」というプレッシャーはありません。そのため、精神的にゆとりを持って働くことができるんです。
残業が少なめなのが、介護施設のメリット
看護師が介護施設に転職した場合のメリットの3つ目は、残業が少ないことです。
介護施設では、緊急入所がありません。新しい利用者さんが入所するのは、あらかじめ事前に予定されていた場合のみです。
また、利用者さんは高齢とはいえ、状態は安定している人たちばかりですから、急変も少なめです。
そのため、介護施設では看護師の仕事が突発的に増えることはありませんので、残業せずに定時で退勤できることが多いんです。
日勤のみの勤務も可なのが、介護施設のメリット
看護師が介護施設に転職した場合のメリット4つ目は、日勤のみの勤務も可能ということです。
特別養護老人ホームは看護師の夜勤がありません。
介護老人保健施設や有料老人ホームは夜勤がありますが、それでも夜勤専従の看護師を配置しているところも多く、常勤でも日勤のみの勤務が可能なところも多いんです。
看護師が介護施設に転職するなら、4つのデメリットも知っておこう
看護師が介護施設に転職する場合のデメリットも知っておきましょう。介護施設に転職するデメリットは4つあります。
看護技術が衰えるのが、介護施設のデメリット
看護師が介護施設に転職するデメリットの1つ目は、看護技術が衰えることです。
介護施設では医療行為が少ないので、精神的に楽に働けるというメリットがありますが、逆に考えると、医療行為が少ないので、今まで培ってきた看護技術を使う機会がなく、コツややり方を忘れてしまう可能性もあるのです。
的確な判断力が要求されるのが、介護施設のデメリット
看護師が介護施設に転職するデメリットの2つ目は、的確な判断力が要求されることです。
介護施設は病院のように医師が常駐しているわけではありません。
そのため、医師がいない時に、利用者さんが急変したり、急激に体調が悪化した場合は、看護師が施設内で様子を見るべきか、病院を受診させるべきか、救急車を呼ぶべきかを判断しなければいけないのです。
人間関係が面倒なこともあるのが、介護施設のデメリット
看護師が介護施設に転職するデメリットの3つ目は、人間関係が面倒な場合もあることです。介護施設では看護師と介護士の関係が悪いことがあります。
介護士は「看護師は楽な仕事ばかり。でも、介護士の私たちより給料が高いなんて納得できない」と思っていて、看護師は「介護士は看護師の指示通りに働いていれば良い」と思っている場合などですね。
関係が悪くても、お互いに関わらずに働けば、それほど疲れることはないのですが、介護施設では看護師と介護士は密に連携を取る必要がありますので面倒なんです。
また、看護師1人だけ介護士の仕事を手伝って良好な関係を築こうとした場合、同僚の看護師から仲間はずれにされることもありますので、介護施設で働く看護師は絶妙なバランス感覚が必要になり、仕事ではなく人間関係で疲れてしまうのです。
オンコールがある場合もあるのが、介護施設のデメリット
看護師が介護施設に転職するデメリットの4つ目は、オンコール当番がある場合もあることです。
特別養護老人ホームや一部の有料老人ホームでは、看護師がいるのは日勤だけで、夜間は介護士のみになります。
そういう介護施設は「夜勤がなくて楽♪」と思うかもしれませんが、オンコールがあるんです。
オンコールとは夜間に利用者さんの体調不良などがあったら、介護士から電話が来て対応しなければならないというものです。
例えば、発熱だったら体温やその他の症状を電話で報告してもらい、電話でクーリングや水分補給などの指示を出せばOKです。
でも、意識消失や発熱だけではなく呼吸困難などの症状がある場合は、電話で介護士に指示をするだけでは不十分ですから、深夜だろうと早朝だろうと出勤して対処しなければいけないのです。
オンコール当番は月に4~5回あるのが普通ですが、オンコール当番の日はたとえ介護士からの電話がなくても、いつでも電話に出れるように、いつでも出勤できるように、お酒を飲むことはできず、基本的に自宅やその周辺にいなければいけません。
そのため、オンコール当番があると、行動が制限されますし、精神的にも疲れてしまうのです。
介護施設の仕事に向いている看護師はこんな人
看護師が介護施設に転職するなら、介護施設の仕事に向いている人はどんな人なのでしょうか?介護施設への転職が向いている人をご紹介します。
介護施設の仕事に向いている人=育児や家事と仕事を両立させたい
介護施設の仕事に向いている人は、育児や家事と仕事を両立させたい看護師さんです。
介護施設は残業が少なめですし、日勤のみで働くことが可能ですから、育児中の人や家事をしっかりやりたい人でも、看護師の仕事と両立させることができるんです。
介護施設の仕事に向いている人=ブランクから復帰したい
介護施設の仕事に向いている人その2は、長期間のブランクから復帰したい人です。
介護施設は医療行為がほとんどありませんので、長年看護師の仕事から離れていた人でも、比較的スムーズに復職することができます。
介護施設なら10年以上のブランクがあっても、復職可能なんですよ。また、体力的に楽なことも、ブランクからの復帰に適していますよね。
介護施設の仕事に向いている人=ゆとりを持って働きたい
ゆとりを持って働きたい人も、介護施設の仕事に向いています。介護施設は体力的にも精神的にも楽に働くことができます。希望すれば、日勤のみの勤務も可能です。
急性期病棟でバリバリ働いてきたけれど、心身ともに疲れてしまったという看護師さんや、「仕事中心の生活は嫌!」という看護師さんは、介護施設へ転職すると、ゆとりを持って働くことができるんです。
介護施設の仕事に向いている人=長期間向き合って看護をしたい
介護施設は、1人1人の患者さん(利用者さん)と長期間じっくりと向き合って看護したい人も、介護施設の仕事に向いていると言えるでしょう。
介護施設は最短でも数ヶ月、場合によっては人生最期の時まで入所しています。
そのため、急性期病棟では在院日数が短くて、患者さんとしっかり向き合えなかったと不満を持っている看護師さんは、介護施設に転職すれば1人1人の利用者さんとじっくり向き合った看護をすることができるでしょう。
看護師が介護施設に転職するなら、失敗しないための求人探しの6つの注意点
看護師が介護施設に転職するなら、転職に失敗しないために、どんなことに注意して求人を探せば良いのでしょう?
転職に失敗しないための求人探すの6つの注意点を教えます。
注意点1:どんな施設?
介護施設に転職する時の注意点1つ目は、どんなタイプの介護施設かをチェックすることです。
介護施設と言っても、介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)、有料老人ホームの3つに大きく分けられます。
また、最近では看護師を配置しているサービス付き高齢者用住宅なども増えてきていますね。
介護老人保健施設は在宅への復帰を目指す介護施設で、看護師は夜勤があります。
特別養護老人ホームは基本的には人生最期の時まで入所していることができる介護施設で、日勤のみ(オンコールはあり)の勤務となります。
有料老人ホームは運営母体によって、夜勤ありか日勤のみかは変わりますが、老健や特養よりも利用料金が高く、ホテル並みの豪華な施設のところもあります。
そのため、利用者さんをお客様として接しなければいけないこともあるんです。
また、有料老人ホームの中には、気切+人工呼吸器のように医療処置が必要な利用者さんを受け入れているところもあります。
そのため、介護施設へ転職する時は、どんな施設を選ぶかによって、勤務体制や職場の雰囲気、医療行為の量等が大きく変わってくるんです。
注意点2:看護師の業務範囲は?
次に注意点その2です。看護師が介護施設へ転職するなら、看護師の業務範囲をチェックしましょう。
介護施設では介護業務は介護士さんが行いますので、看護師は看護業務に専念できることが普通です。
でも、介護施設によっては「看護師さんも介護業務を積極的に手伝いましょう!」としているとこともありますし、介護士があまりにも人手不足でやむを得ず看護師が介護士の仕事を手伝わなければいけない場合もあります。
そういう介護施設に転職してしまうと、力仕事をどんどんしなければいけないので、体力的にきつくなり、介護施設に転職したメリットを1つ失うことになります。
そのため、介護施設へ転職する場合は、看護師の業務範囲はどこまでかを必ずチェックしておきましょう。
注意点3:職場の人間関係は?
看護師が介護施設に転職する場合は、人間関係もチェックしておきたい注意点です。
看護師と介護士や看護師と看護師の人間関係が悪い職場で働くと、仕事がスムーズに進みませんし、精神的にも疲れてしまいます。
そのため、職場の人間関係が良いところを選ばないと、「仕事は進まないし、気疲れする!」ということになってしまうのです。
注意点4:残業はどのくらい?
看護師が介護施設に転職する場合は、月にどのくらい残業するのかを念のため調べておきましょう。これも大事な注意点です。
介護施設では残業時間が少ないのですが、すべての介護施設で絶対に残業が少ないとは限りません。
先ほども少し触れましたが、看護師が介護士の仕事を手伝うような施設だと、看護師の業務量が増えますので、看護師が残業しなければいけないこともあります。
そのため、「介護施設=残業少なめ」と決めつけずに、月の平均の残業時間を調べておくと安心です。
注意点5:緊急時のマニュアルは?
次の注意点です。看護師が介護施設に転職する場合は、緊急時のマニュアルはどうなっているのかも確認しておきましょう。
介護施設には医師が常にいるわけではありませんから、利用者さんが急変した時は、看護師が的確な判断をしなければいけません。
でも、的確な判断って難しいですよね。自分の判断が正しいのか自信を持てない人も多いと思います。
そのため、いざという時に「どうしよう、どうしよう」と慌てることがないように、緊急時のマニュアルがきちんとある介護施設を選ぶと安心ですよ。
緊急時に判断に困ったら、24時間365日いつでも嘱託医に電話で相談できるとか、提携している病院がいつでも受け入れてくれるか等ですね。
そういう体制が整っている介護施設なら、安心して働くことができるでしょう。
注意点6:医療行為はどのくらい?
最後の注意点です。看護師が介護施設に転職するなら、医療行為がどのくらいあるのかをチェックしましょう。
日常的に行う医療行為はインスリン注射程度なのか、人工呼吸器をつけている人がいるから、呼吸器の管理と定期的な痰の吸引が必要なのかでは、看護師の負担は大きく異なります。
できるだけ楽に働きたいなら、医療行為ができるだけ少ない介護施設を選ぶべきですし、看護スキルを衰えさせたくないという人は、医療行為が多めの介護施設を選ぶと良いでしょう。
まとめ
介護施設の仕事の特徴やメリット、デメリット、介護施設に向いている人、介護施設に転職する時の求人選びの注意点をご紹介しましたが、いかがでしたか?
介護施設と言ってもいろいろありますので、どんな介護施設が良いのか、どんな介護施設が合っているのかをきちんと見極めてから、転職先を探すと良いでしょう。
今現在、介護施設で働いていて転職を考えている看護師さんは、介護施設の看護師さんが転職先を探すポイントをまとめたこちらの記事を参考にしてくださいね。
介護施設へ転職したい看護師さんは、転職サイトを使うと良いですよ。
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