看護師で退職金をしっかり計算して、「定年退職する時には、このくらいの退職金をもらえるはず」とわかっている人は少ないと思います。
でも、退職金を計算しておくことは、老後の安定のためにも重要です。
逆に、「まだ定年退職はまだまだ先だし、退職金なんて気にしたことがない」という人は、老後にお金に困ることになるかもしれませんし、何百万単位、下手をすると1000万円以上の損をすることになりかねません。
看護師は20代の頃から退職金を計算して働かないと、とんでもなく大きな損をします。
退職金の金額の目安など、看護師の退職金について詳しく説明していきます。
看護師は転職しやすい職業だからこそ、退職金はきちんと計算しておかないといけないのです。
目次
看護師は退職金をいくらもらえるの?
看護師で退職金をいくらもらえるのか、きちんと計算している人は少ないと思います。
退職金をいくらもらえるかは、今後のあなたの生活計画・人生計画に大きく関係してくるものですから、退職金はいくらもらえるのかを計算しておく必要があります。
- 退職金の計算方法は病院によって違う
- 看護師の勤続年数別による退職金の目安
退職金の計算方法は病院によって違う
看護師の退職金の計算方法は、病院によって違います。なぜなら、退職金の計算方法は決められていないからです。
だから、病院独自の計算方法で退職金を計算することになります。看護師の退職金の計算方法は、主に次の4パターンになります。
- 基本給連動型
- 基本給連動型+実績連動型
- 勤続年数定額型
- 固定額×勤続年数型
基本給連動型
看護師の退職金の計算方法の1つ目は、基本給連動型です。簡単に言うと、次のような計算式になりますね。
- 退職金=退職時の基本給×勤続年数
例えば、退職時の基本給が25万円で勤続年数が10年だった場合は、25万円×10=250万円が退職金になります。
この勤続年数は、病院によっては「支給月数(支給率)」に変換されて、3年で2ヶ月分、5年で5ヶ月分、10年で15ヶ月分のように単純に勤続年数を基本給にかけるわけではないこともあります。
基本給連動型+実績連動型
看護師の退職金の2つ目の計算式は、基本給連動型に実績を加味したものです。
基本給連動型をベースとして、どれだけその職場に貢献したかも退職金に関係してくる計算方式ですね。
- 退職金=退職時の基本給×勤続年数×功績倍率
この功績倍率は一般スタッフだと1.0ですが、役職につくと数字が大きくなります。
そのため、出世すればするほど、その病院に貢献したとされ、退職金が高くなるんです。
勤続年数定額型
看護師の退職金の3つ目の計算式は勤続年数定額型です。
これは、「計算式」というよりも、「病院が独自に設定した金額」になります。
勤続3年なら20万円、5年なら50万円、10年なら150万円のように「勤続〇年なら、万円」と病院が独自に設定した金額が退職金になりますね。
固定額×勤続年数型
看護師の退職金の4つ目の計算式は、固定額×勤続年数型です。
基本給連動型は基本給をベースにしていますが、固定額×勤続年数型は基本給ではなく、病院が決めた固定額をベースにしています。
固定額は10万円の病院もありますし、30万円の病院もあります。
また、固定額×勤続年数型に実績連動型が加わって、役職によって功績倍率が変わることもあります。
看護師の勤続年数別による退職金の目安
次に、看護師の勤続年数別の退職金の目安を見ていきましょう。
あらかじめ言っておきますが、今からご紹介する退職金の金額は、あくまで「目安」です。
先ほど説明した通り、退職金の計算方法はそれぞれ違いますので、「勤続年数5年なら〇万円!」と決めつけることはできないんです。
- 勤続年数3年=20~50万円
- 勤続年数5年=40~100万円
- 勤続年数10年=100~400万円
- 勤続年数20年=300~1500万円
幅があり過ぎて、いまいち目安になっていないかもしれませんが、それだけ退職金は職場によって違うことがわかると思います。
次に、2つの有名病院の看護師の退職金の例をご紹介していきます。
まずは、独立行政法人国立病院機構の看護師の退職金の一例です。国立病院機構の看護師の退職金は、国家公務員退職手当法によって決められています。
- 勤続5年(自己都合退職)=約67万円
- 勤続10年(自己都合退職)=約150万円
- 勤続35年以上(定年退職・役職なし)=約2100万円
- 勤続35年以上(定年退職・看護部長)=約2800万円
(参考:https://www.nanao-hosp.jp/medical/pdf/kyuyo_130225.pdf)
次は、済生会の看護師の退職金をご紹介しましょう。
- 勤続10年=404万6000円
- 勤続20年=1388万2000円
- 勤続30年=3319万8000円
- 勤続35年=3606万4000円
(参考:https://www.saiseikai-otaru.jp/hotnews/detail/00000176.html)
勤続年数が長ければ長くなるほど、退職金は多くなるのはわかりますが、看護師の退職金の目安は「あってないようなもの」と言えるんです。
看護師は退職金を必ずもらえるわけではない
看護師は退職金を必ずもらえるわけではありません。
退職金なしの可能性もあるのです。
定年退職まで勤めれば、もしくはある程度の年数を勤めれば、退職する時に自動的に退職金をもらうことができると信じ込んでいる看護師は多いと思います。
でも、常勤として働いていても、退職金を必ずもらえるとは限りません。
なぜなら、退職金の支給は義務ではないからです。
法律で、「企業(病院)は退職金を支給しなければいけない」とは一切定められていません。
つまり、退職金を支給するかどうかは、その職場次第であるということです。
退職金を支給するかしないかは、職場が決めてOKであり、支給しなくても何の問題もありません。
日本では多くの職場が退職金を支給しているので、「退職金をもらえるのは当たり前のこと」というイメージがあるかもしれませんが、そういうわけではないんですね。
看護師が退職金をもらうために知っておきたい5つのこと
看護師は退職金を必ずもらえるわけではないことは、先ほど説明した通りです。
退職金ををもらえるかもらえないかは、あなたの今後の人生計画に大きく関係してくるものですから、退職金について正しい知識を身につけておく必要があります。
- 退職金支給の最低勤続年数
- 同じ勤続年数でも退職理由によって金額が変わることも
- 退職金の平均額が高い病院ランキング
- 退職金なしのことが多い職場
- 退職金はいつもらえるの?
退職金支給の最低勤続年数
退職金制度がある職場で働いていても、必ず退職金が貰えるというわけではないので注意が必要です。
退職金支給には、最低勤続年数が設定されていることが多いです。
この最低勤続年数は3年としているところが多いですね。丸3年、その職場で勤務しないと、退職金はなしになります。
この最低勤続年数は、職場によって違います。
勤続年数1年でも退職金を支給するというところもありますし、勤続年数2年で支給するところもあります。
丸5年勤務しないと、退職金を支給しないところもありますので、退職金支給の最低勤続年数は確認しておく必要があります。
同じ勤続年数でも退職理由によって金額が変わることも
看護師の退職金は、勤続年数が長くなれば長くなるほど金額は高くなります。
ただ、同じ勤続年数でも、退職理由によって金額が変わることが多いです。
看護師の退職理由は、次の3つに分けられます。
- 自己都合退職
- 病院都合による退職(リストラ等)
- 定年退職
看護師の場合、リストラなど病院都合で退職することはほぼないとは思います。
退職金の金額は、同じ勤続年数でも「病院都合による退職≧定年退職>自己都合退職」になることが多いです。
自己都合で退職すると、退職金は低めになってしまうのです。
退職金の平均額が高い病院ランキング
次に、退職金の平均額が高い病院にはどんなところがあるか、ランキング形式でご紹介します。
これも、あくまで目安で、病院によって違いますので、参考程度に見てくださいね。
第1位 公的病院(済生会、日赤等)
第2位 国立病院機構や国立大学病院
第3位 市立病院や県立病院などの公立病院
第4位 私立大学病院
第5位 企業立病院
第6位 高級老人ホーム
先ほどの退職金の金額の目安でもご紹介した通り、済生会の退職金は高いです。
日赤はそこまでではありませんが、まあまあ高いですね。
続いて、国家公務員と同じ計算方法で退職金が貰える国立系の病院、次に地方公務員扱いになる公立病院が続きます。
そして、給料が高い私立大学病院が第4位になります。
企業立病院は、その病院自体がそれほど大きくなく200~300床だとしても、一流企業が経営母体であり、その企業の規定で退職金が決められますので、大手企業の社員並みの退職金を期待できます。
退職金が高い看護師の職場の第6位は、有料老人ホームですね。
特に、高級有料老人ホームは、看護師の給料が高いだけでなく、退職金も高めに設定されていることが多いです。
退職金なしのことが多い職場
看護師の職場でも、退職金を支給するところが多いです。ただ、先ほども言ったようにすべての職場が退職金を支給してくれるわけではありません。
退職金なしということが多い看護師の職場には、次のようなものがあります。
- 個人病院
- クリニック
- 訪問看護ステーション
小さな職場は退職金がないことが多いですね。
退職金はいつもらえるの?
退職金は退職後1~2ヶ月程度で、指定の銀行口座に振り込まれるケースが多いです。
手渡しでもらえるわけでも、退職日当日に振り込まれるわけでもありません。
「退職したら、退職金の資金ですぐに海外旅行に行こう!」と計画しているとなかなか退職金が振り込まれずに、当てが外れてしまうことになりますので注意してください。
看護師は退職金次第で転職したほうが良いことも!
看護師は退職金次第では、早めに転職したほうが良いことが多いです。
看護師は転職しやすい職業ですよね。定年退職までに何度か転職するのが当たり前だと思います。
だからこそ、看護師は退職金のことを考えて計画的に転職しないと大きな損をすることがあるんです。
- まずは退職金の有無と退職金の予想額をチェック
- 退職金がない人は今すぐ退職金があるところへ転職!
- 今の職場で退職金があっても損得を考えて!
まずは退職金の有無と退職金の予想額をチェック
まずは、あなたの今の職場に退職金があるのかどうか、そして退職する時にはいくら位退職金をもらえるのかをチェックしましょう。
退職金の有無と計算方法は、就業規則に記載されていますので、就業規則をきちんと読んでおきましょう。
そして、今退職した時、今後退職した時、定年退職まで勤めた時の退職金を計算してみてください。
退職金がない人は今すぐ退職金があるところへ転職!
就業規則を見て、退職金制度がない職場で働いていることを知ったら、すぐに転職をしてください。
退職金制度がないところで働いているなんて、自ら進んで損をしているようなものです。
だから、今すぐ退職金をもらえるところに転職しなければいけないのです。
今の職場で退職金があっても損得を考えて!
今の職場に退職制度があった場合も、安心してはいけません。退職金制度がある職場で働いている場合も、次の3つのことを考えてください。
- 勤続20年で退職金700万円以下ではないか
- 定年退職まで働いていける職場か
- あと何年働けるのか
勤続20年で退職金700万円以下ではないか
勤続20年で退職金700万円以下のところは、退職金は高いとは言えません。
勤続20年で退職金700万円あれば低くはないものの、もっと上を狙うべきです。
定年退職まで働いていける職場か
今の職場は定年退職まで働いていけるかどうかも、考える必要があります。
看護師は長く働けば働くほど、退職金は高くなります。
だから、今の職場で退職金の計算をして、「定年退職まで働けば2500万円もらえる!」とわかったら、ウキウキしますよね。
でも、あなたは本当に今の職場で定年退職まで働いていけますか?
結婚しても、妊娠しても、育児をしながらでも、年齢を重ねて体力が落ちてきても、60歳になるまで働いていけますか?
定年退職まで働いた場合の退職金がどんなに高くても、あなたが定年退職まで働けなければ、絵に描いた餅であり、その退職金をもらうことはできません。
もし、定年まで働けないと思ったら、ずっと長く定年退職まで働けるところに早めに転職して、勤続年数を長くしたほうが、結果として退職金をたくさんもらえることがあります。
あと何年働けるのか
退職金を少しでもたくさんもらうためには、あと何年働けるのかも考えなければいけません。
勤続年数が長くなれば長くなるほど、退職金は高くなります。
だから、今の職場の退職金が低いという場合、あなたの年齢が20代~30代なら今のうちに退職金が高いところに転職したほうが、結果として得になることが多いです。
でも、あなたが40代~50代の場合、転職しても、転職先での勤続年数が短くなるので、いくら退職金が高いところに転職しても、今の職場で働き続けたほうが最終的な退職金が高くなることもあります。
だから、あと何年働けるのかを考えて、転職したほうが得なのかをしっかり考える必要があります。
看護師が退職金が高いところへ転職するなら転職サイトを利用して
看護師が退職金で損をしないために転職を考えているなら、転職サイトを利用したほうが安心です。
自分で退職金の計算をして、さらに転職先の退職金が高いかどうかをチェックし、今転職したほうが得かどうかを比較するのは、ハッキリ言って面倒くさいし、難しいですよね。
しかも、転職先では定年退職まで長く働けるような職場環境なのかもチェックする必要があります。
これらの面倒なミッションを簡単にクリアするためには転職サイトに登録して、転職コンサルタントを頼るのが確実です。
転職コンサルタントなら、転職先の退職金について詳しく調べてくれますし、転職したほうが得かどうかの計算もきちんとしてくれます。
もちろん、今後ライフステージが変わっても長く勤められるかどうかも確認してくれますので、転職サイトを使えば、退職金で損をすることは絶対にないのです。