看護師は残業するのが当たり前で、定時で帰れることなんて滅多にないと思い込んでいませんか?しかも、サービス残業が多いんですよね。
看護師だって残業がない職場で働くことは可能です!残業にうんざりしている看護師さんは、これを読めば定時退勤の夢が叶うかもしれません!
看護師の残業の実態
看護師は残業するのが当たり前。そんな風潮がありますよね。では、看護師は実際どのくらいの残業を強いられているのでしょうか?
日本看護協会「2008年 時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」によると、交代制勤務をしている看護師の残業時間は、次のようになっています。
- 10時間以下=34.1%
- 10~20時間以下=25.0%
- 20~30時間以下=17.6%
- 30~40時間以下=9.1%
- 40~50時間以下=6.4%
- 50~60時間以下=3.4%
- 60時間超=4.3%
このデータによると、看護師の残業時間の平均は23.4時間になります。みんな1日1時間は残業している計算になりますね。
交代制勤務者の過労死ラインは50~60時間とされていますので、4.3%の看護師はいつ過労死してもおかしくない状態で勤務していると言えるのです。
労働基準法では1ヶ月の残業の限度は45時間、1年間で360時間と決められているのですが、守られていないことが多いのです。
看護師が残業が多い理由とサービス残業の現状
看護師はなぜ残業が多いのでしょうか?看護師が残業する理由、残業しなくてはいけない主な理由を挙げ、合わせてサービス残業の現状を見ていきます。
- 前残業をしないと仕事にならない
- 業務量が多すぎる
- 先輩より先に帰れない
- 急変や緊急入院で仕事が終わらない
- 看護記録に時間がかかる
- 研修会や勉強会、病棟会や委員会
- 新人看護師とプリセプター
前残業をしないと仕事にならない
看護師の残業の特徴と言えば、前残業が当たり前のようにあることではないでしょうか?看護師の仕事は、その日受け持ちする患者さんの情報収集をして、1日の行動スケジュールを立てないといけません。
始業の30分前に出勤するのは当たり前、新人看護師の場合は1時間前に出勤しないと間に合わないこともありますよね。
この前残業は、残業にカウントされません。当然、サービス残業になります。前残業を「残業」と思っていない職場も多いんです。
業務量が多すぎる
看護師が残業が多い理由は、単純に業務量が多すぎることもあります。看護師1人あたりの業務量が多すぎるので、勤務時間内にどんなに頑張っても、仕事が終わらないことが多いのです。
朝からバイタルチェックをして、清潔ケアをして、食事介助をして、処置をして、点滴をして、入院や退院の対応をして、ナースコールの対応をして、看護記録を記入して。
しかも患者さんは1人ではなく複数いるのですから、残業しないと仕事が終わらないんですね。
業務量が多すぎて残業しなければいけない場合も、「あなたの能力不足が原因」とみなされて、残業代をつけてもらえず、サービス残業になってしまうことも珍しくありません。
先輩より先に帰れない
看護師が残業が多い理由の3つ目は、先輩看護師よりも先に帰れないことが多いことです。
職場によっては、自分の仕事が終わったら、サッサと帰宅して良いとしているところもありますが、看護師の職場は縦社会のことが多く、先輩看護師が帰るまでは、後輩は帰らないとしているところもあるんです。
そういう職場では、先輩看護師の仕事が終わらないと、自分の仕事が終わってもなかなか帰れません。先輩看護師の仕事が終わるまでは、病棟内で雑用をやって過ごさなくてはいけません。
もちろん、絶対に先輩看護師よりも先に帰ってはいけないというわけではありませんが、先輩看護師よりも先に帰ってしまうと、あとから陰で「後輩のくせに生意気!ありえないよね~」と悪口を言われてしまうことになりかねないので、帰りたくても帰れないのです。
このケースも残業代はつけてもらえないので、サービス残業になりますね。
急変や緊急入院で仕事が終わらない
看護師が残業が多い理由には、急変や緊急入院もあります。看護師は業務量が多いので、通常業務をやっているだけでも、いっぱいいっぱいです。
そこに急変や緊急入院があったら、仕事量は一気に増えます。急変や緊急入院の対応がひと段落してから、通常業務を行うことになります。
午前中に急変や緊急入院があったら、まだ午後に一生懸命に働けば、定時に帰れる可能性もありますが、勤務時間終了間際に急変や緊急入院があたら、数時間の残業は確定になります。
看護師として働いている以上、急変や緊急入院は仕方がないものなのですが、それでも毎日のように急変&緊急入院で残業があったら、うんざりしますよね。
外科系の病棟だと手術時間がずれ込んでしまって、夜勤帯に入ってからオペ迎えに行かなくてはいけないこともあります。そういう時は、日勤が残業して対応しなければいけないので、看護師は残業が増えてしまうんです。
このケースの残業は、ホワイトな職場だと残業代をつけてもらえますが、ブラックな職場だと当たり前のようにサービス残業になります。
看護記録に時間がかかる
看護師は看護記録に時間がかかって残業することが多いですね。勤務時間内は、看護記録は後回しにして、とにかく患者さんのケアをしなければならず、勤務時間が終わってから、ようやく看護記録を書くことになります。
通常の看護記録だけならまだしも、看護計画の評価日だった場合、看護計画を評価・修正しなければいけないので、さらに時間がかかります。
電子カルテはパソコンが得意な人なら手書きよりも速いかもしれませんが、パソコンが苦手な看護師さんは多いので、手書きよりも時間がかかってしまうことも多いんです。
看護記録をすることでの残業は、残業代が付かないサービス残業になることがほとんどだと思います。
研修会や勉強会、病棟会や委員会
看護師が残業する理由には、研修会や勉強会があります。これは、急性期病院あるあるではないでしょうか?
日勤のあとに研修会や勉強会があると、強制的に参加しなければいけません。病棟会や委員会などもありますよね。
日勤のあとならまだ良いと考える看護師さんも多いと思います。
研修会や勉強会、病棟会、委員会への参加が免除されるのは、夜勤の入りの日だけです。夜勤明けや休みの日も、参加しなければいけないので、夜勤明けや休みの日にも残業しているという変なことになってしまうのです。
この研修会や勉強会、病棟会、委員会は強制参加であるにも関わらず、形式上は自主的に参加することになるので、残業代が付かないサービス残業になります。
新人看護師とプリセプター
新人看護師とプリセプターも残業が多いですね。新人看護師は、仕事のスピードが遅いので、どうしても残業が多くなります。これは、仕方がないことです。新人なんですから。
また、プリセプターも残業が多くなるんです。新人看護師が抱え切れないほどの残業量を抱えていたら、プリセプターが手伝ってあげる必要があります。
さらに、新人看護師の業務が終わったら、その日1日の振り返りをしなくてはいけません。新人看護師は能力が足りないから残業することになるため、残業代をつけてもらえないことが多いです。
それに付き合うプリセプターも、残業代はつきません。
だから、新人看護師とプリセプターはサービス残業が多くなってしまうのです。
看護師の残業が多い病院や診療科
看護師は残業が多いのが当たり前という風潮がありますが、実際は最初にご紹介したように1ヶ月に残業時間が10時間以下しかない人も34.1%もいますので、職場選びを間違えなければ、残業ばかりの毎日から解放されます。
残業はできるだけしたくない人は、まずは残業が多い病院や診療科などを知っておきましょう。
- 7対1の病院
- 循環器系や脳神経系の診療科
- 外科系診療科全般
- 小児科
- 古い体質の病院
7対1の病院
看護師の残業が多い職場の1つ目は、7対1の病院です。7対1の病院は急性期病棟の中でも、高度な医療を提供している病院ですね。総合病院や大学病院などです。
日本医療労働組合連合会の「看護職員の労働実態調査報告書」によると、7対1の病院は10対1や13対1の病院に比べて、看護師の残業が多いことがわかっています。
<看護師の残業時間が30時間以上の割合>
- 7対1=11.4%
- 10対1=7.8%
- 13対1=8.5%
- 15対1=4.3%
- 療養型病棟=5.2%
7対1の病院は、どうしても重症患者が多く、急変や緊急入院が頻回にあるので、残業が多くなります。そのため、残業したくない看護師さんは、避けたほうが無難です。
循環器系や脳神経系の診療科
次に、残業が多い科はどこかを見ていきましょう。循環器系や脳神経系の診療科は、残業が多い傾向にあります。
循環器内科や心臓血管外科、神経内科、脳神経外科は、どうしても患者さんの状態が不安定で、急変が多いので、残業が多くなってしまうんですね。
外科系診療科全般
外科系の診療科は全般的に残業が多いので、注意が必要です。外科系の診療科は、オペ戻りの対応をしなければいけません。オペ戻りの対応は、やることが多くて、いつもばたばたしますよね。
オペ件数が多いとそれだけバタバタして残業が増えます。また、オペが予定時間に終わらず、オペ戻りが夜勤帯にずれ込めば、日勤の看護師が残業して対応しなければいけません。
そのため、外科系はどうしても残業が増えます。また、同じ理由で眼科病棟も要注意ですよ!眼科は外科に分類されないことが多いですが、入院患者のほとんどがオペをします。
普通の外科系診療科よりも、1日のオペ件数が多いことが珍しくないので、眼科病棟も残業が多くなるのです。
小児科
小児科も残業が多い科の1つになります。小児科は、看護師の都合で処置を進めることができません。
子どもが泣いてしまえば、いったん処置をストップして、気を紛らわせてから、また行う必要があるので、仕事がスムーズに進まないのです。
また、泣いている子どもがいても、勤務時間が終わったからといって、気にせず帰るわけにはいきませんよね。勤務終了後も、子どもの相手をしなければいけないこともあります。
そのため、小児科はほかの診療科に比べて、残業が多くなってしまうのです。
古い体質の病院
古い体質の病院も、残業が多くなります。古い体質の病院は、「看護師は奉仕の心が大切。患者さんのために感謝の気持ちを持って精一杯仕事をしなさい!」という精神で看護師を働かせるところがあります。
そういう病院は、看護師が残業することが当たり前であると思っているので、看護師の残業を減らす対策をまったくしないのです。残業代を支払わないことも多いですね。
また、お局看護師がいるような病院は、先ほど説明したように、「後輩のくせに、先輩よりも先に帰るなんて許さない!」のようなところが多いので、どうしても残業が多くなってしまうのです。
看護師の残業が少ない病院や診療科、職場
看護師の残業が多い職場がわかったところで、次は残業が少ない職場はどこかを見ていきましょう。どんな職場で働いたら、看護師は残業が少なくて済むのでしょうか?
- 15対1の病棟や療養型病棟
- ICUやCCU、救命救急センター
- 予約診療の外来やクリニック
- 精神科や糖尿病内科
- 透析クリニック
- 介護施設やデイサービス
- 保育園
15対1の病棟や療養型病棟
看護師の残業が少ない職場は、15対1の病棟や療養型病棟です。これは、7対1の病院が残業が多い理由でお話したように、15対1の病棟や療養型病棟は30時間以上残業している病院の割合が少ないのです。
そのため、残業が少ない病院に当たる可能性が高くなるんですね。15対1の病棟や療養型病棟は、状態が落ち着いている患者さんが多いので急変が少ないですし、救急病院ではないことが多いので、緊急入院の件数も少ないため、残業が少ないのです。
ICUやCCU、救命救急センター
看護師の残業が少ない職場には、ICUやCCU、救命救急センターもあります。これは、ちょっと意外かもしれませんね。
ICUもCCUも救急センターも超重症な患者さんが多い部署です。でも、それだけ看護師の人数も多いんです。24時間集中治療をしなければいけないので、日勤と夜勤の看護師の数はほとんど変わりません。
そのため、勤務交代の時間が来たら、仕事を引き継げば、すぐに退勤できるのです。私は大学病院の救命救急センターで働いていましたが、1ヶ月の残業時間は2~3時間程度でした。
だから、7対1の病院で働きたいけれど、残業はしたくないと言う看護師さんは、ICUやCCU、救命救急センターで働くことをおすすめします。
予約診療の外来やクリニック
看護師の残業が少ない職場の2つ目は、予約診療の外来やクリニックです。総合病院の外来は、紹介状が必要なだけでなく、完全予約制にしているところが多いですね。
また、クリニックでも心療内科やレディースクリニックなどは完全予約制の診療をしています。
予約診療をしている外来やクリニックは、診療終了間際に患者が押し寄せるようなことがないので、残業することがほとんどないのです。
精神科や糖尿病内科
精神科や糖尿病内科は、残業が少ない診療科の代表例です。精神科は重篤な体の疾患を持っているわけではないので、命にかかわるような急変をするリスクが少ないですし、日々の業務もゆとりを持って働くことができます。
糖尿病内科は教育入院の患者が多いですし、ADLが自立している人が多く、急変は少ないです。緊急入院も少なめなので、比較的残業は少ないでしょう。
透析クリニック
看護師の残業が少ない職場の5つ目は、透析クリニックです。透析クリニックは予約診療のようなものですし、ルーティンワークを行うことが多いので、残業は少なめです。
介護施設やデイサービス
介護施設やデイサービスも、残業したくない看護師さんには、おすすめの職場です。介護施設やデイサービスは、高齢で介護は必要でも、治療をする必要はない人が入所・利用しているので、急変はそれほど多くありません。
また、介護施設は予定入所のみで、デイサービスは1日の利用者数が決まっています。さらに、介護施設やデイサービスは、看護師の業務量が病棟よりも少なめで、ゆとりを持って働けるので、残業は少ないのです。
保育園
保育園も残業が少ない職場です。具合が悪くなって、緊急で病院に連れて行かなければいけない子どもがいたら、看護師が付き添わなくてはいけないので、残業することもありますが、そのようなケースはほとんどありません。
通常は、勤務時間が終われば、すぐに退勤できるので、保育園で働けば、残業することは少ないでしょう。
看護師は残業時間だけでなく残業手当の扱いも大切!
看護師の残業が多い職場と残業が少ない職場をご紹介しましたが、最後に残業手当についても確認しておきましょう。
あなたの今の職場では、残業した分は全部残業手当がついていますか?
労働基準法では残業をしたら、次の賃金を支払う必要があると定めています。
- 法定労働時間を超えたとき=25%割り増し
- 残業が限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間を超えたとき)=25%以上割り増し
- 残業が60%以上を超えたとき=50%割り増し(中小企業は猶予あり)
基本給を法定時間で割ったのが時給であり、残業手当は基本的にその時給の25%割り増しした金額が支払われます。
たとえば、基本給が20万円だった場合、週40時間労働、1ヶ月160時間労働と仮定すると、時給は1250円になります。これの25%割り増しは、1562.5円です。
1時間残業すると、1562.5円をもらえるのです。10時間残業すれば、15625円。20時間残業すれば、31250円。
残業代をつけてくれない職場で働いていると、これだけのお金を毎月捨てていることになります。
残業手当はあなたが働いた分もらわなくてはいけないものですから、一度給料明細を見直して、残業した分は、きちんと支払われているかを確認してください。
もし、残業代がぜんぜん支払われていない場合、あなたの今の職場は間違いなくブラックな職場です。
残業なんて誰でもしたくありません。それでも、きちんと働いた分は残業手当を支給してくれるなら、頑張ろうと思えますが、やりたくない残業をして、さらに残業代も支払われないなら、残業なんて絶対にやりたくないですよね。看護師はボランティアではないのですから。
だから、看護師は残業の多い少ないにかかわらず、残業手当をしっかり払ってくれる職場で働かなくてはいけないのです。
日本医療労働組合連合会の「看護職員の労働実態調査報告書」によると、賃金不払い労働がない、つまりサービス残業はないと答えた看護師は31.1%もいます。
きちんと探せば、残業代を全部支払ってくれる職場は必ず見つかります。
いつの間にかボランティアをさせられて、お金を捨てているくらいなら、転職して残業がない職場、または残業代をしっかりと支払ってくれる職場に転職したほうが良いと思いませんか?
まとめ
看護師の残業の実態や残業が多い職場、少ない職場などをまとめました。
看護師は残業するのが当たり前ではありません。もちろん、サービス残業なんてやるべきものではありません。
残業が嫌なら、残業が少ない職場に転職してしまえば、万事解決です!
ただ、残業が少ない職場でも、まったく残業がないというわけではなく、残業をしなければいけないことも時々はあるでしょう。
そういう時に、サービス残業にならないためにも、残業をしたときには残業手当をきっちり支払ってくれるかどうかも必ずチェックしておく必要があります。
残業が少なく、さらに残業手当をきちんと支払ってくれる職場に転職するなら、転職サイトを使いましょう。
転職サイトなら、担当コンサルタントが、平均残業時間を調べて残業が少ない職場をピックアップしてくれます。
また、今まで転職の手伝いをした看護師さんから病院内部の生の情報を聞いていますので、残業手当がきちんと支払われる職場だけを紹介してもらえるのです。