お礼奉公中に辞めたくなったら、どうすればいいの?

看護師はお礼奉公をしている人が多いですよね。ただ、お礼奉公中でもどうしても辞めたいと思うようになることもあると思います。

お礼奉公のメリットやデメリット、お礼奉公中に辞めたい理由と対処法をまとめました。お礼奉公に関する法律についても説明しています。

看護師のお礼奉公は悪い制度ではない

看護師はお礼奉公が当たり前の世界です。「お礼奉公」なんて江戸時代とか明治時代などの時代劇で使われるような言葉ですよね。でも、看護師の世界では21世紀の今でも、よく使われる言葉であり、お礼奉公が当たり前の世界なのです。

念のためのおさらいですが、お礼奉公とは、看護学校や看護大学の学生に奨学金を支給する代わりに、国家資格取得後は一定期間指定の病院で働いてもらう。そうしたら、奨学金の返済は免除するという制度です。

お礼奉公の期間は、3~5年が一般的です。奨学金の金額はそれぞれ異なりますが、1ヶ月3~10万円支給されることが多いです。

これを3年間支給してもらうと、奨学金の総額はかなりの金額になります。1ヶ月3万円の場合は3年間で108万円、1ヶ月10万円の場合は360万円になるのです。

指定された病院で3~5年働けば、この奨学金の返済が免除されると考えると、お礼奉公は悪い制度ではないですよね。

看護師のお礼奉公のメリットは【お金がなくても看護師になれ、返さなくても良い】

辞めたいけれど、一括返済はできないし・・・

看護師のお礼奉公のメリットを確認しておきましょう。お礼奉公というと、あまり良いイメージがなく、お礼奉公=悪い制度というイメージがありますが、そういうわけでもないのです。

お金がなくても看護師になれる

お礼奉公のメリット1つ目は、お金がない人でも看護師になれることです。看護師になりたくても、経済的な事情で進学を諦めなくてはいけない人もいると思います。

でも、お礼奉公の制度があれば、看護学生時代に奨学金をもらえるので、学費や生活費の足しにすることができ、看護師を目指すことができるのです。

シングルマザーで看護師になりたい人にとっても、お礼奉公はありがたい制度ですよね。

奨学金を返さなくても良い

お礼奉公のメリット2つ目は、奨学金を返す必要がないことです。先ほども言いましたが、指定の病院で3~5年働けば、借りていた奨学金を返済する必要がなくなります。

卒業後はどのみち看護師として働くことになります。職場を自分で選ぶことはできませんが、それでも3~5年我慢して働けば、100~400万円近くのお金を返さなくて良いのです。

これを考えると、お礼奉公は悪い制度と言い切ることはできないのです。

病院側のお礼奉公のメリットは【人員確保ができる】

お礼奉公中でも辞められる裏技とは?

お礼奉公のメリット、次は病院側のメリットです。世の中は看護師不足が深刻ですが、病院は看護学生に奨学金を貸与して、お礼奉公させると、看護師を確実に確保できるというメリットがあります。

看護師が不足すると、7対1などの配置基準を保つことができず、診療報酬に大きく影響しますので、看護師を確実に確保できるなら、奨学金を出すくらいの支出は病院側にとっては全く痛手ではないのです。

看護師のお礼奉公のデメリットは【辞めたくても辞められない】

看護師のお礼奉公には、デメリットもあります。お礼奉公のデメリットは、何と言っても「辞めたくても辞められない」ことですよね。

お礼奉公をすると、新卒から3~5年は好きな場所で働くことができません。ある意味、軟禁されているようなものです。

奨学金を借りていて、それを返済せずに済むのですから、仕方がないとはわかっていても、モヤモヤしてしまうことも少なくありませんよね。

看護師がお礼奉公中に辞めたいと思う4つの理由

看護師がお礼奉公中に辞めたいと思うのは、どんな理由があるのでしょうか?お礼奉公中に辞めたいと思う理由を4つご紹介します。

お礼奉公中に辞めたいと思う理由は以下の4つです。

  1. 希望とはかけ離れた部署である
  2. 上下関係が厳しく、先輩が怖いところが多い
  3. 結婚や妊娠
  4. 辞められないから辞めたくなる

それでは、この4つの辞めたいと思う理由について詳しく見ていきましょう。

希望とはかけ離れた部署である

看護師がお礼奉公中に辞めたい理由の1つ目は、希望とはかけ離れた職場・部署に配属になったためです。

お礼奉公は、病院側に指定された職場で働かなくてはいけません。そして、その職場は急性期病棟とは限らないのです。精神病棟の場合もありますし、療養型病棟やクリニック(というより村の診療所)の場合もあります。

新人看護師の多くは、急性期病棟で看護スキルを身につけたいと思っている人が多いので、急性期病棟以外の職場に配属になると、スキルが身につかない焦りを感じて、お礼奉公中でも辞めたいと思ってしまいます。

上下関係が厳しく、先輩が怖いところが多い

看護師がお礼奉公中に辞めたいと思う理由には、人間関係があります。看護師がお礼奉公をする病院には、上下関係が厳しく、先輩看護師が怖いところが多いのです。

その病院は特定の看護学校卒の看護師が非常に多く、病院も看護学校の延長のような状態になっていて、先輩後輩の上下関係が厳しいことが多いのです。

また、師長などの上司は、「どうせお礼奉公中だから辞めないでしょ」と思っているため、本気でイジメの解決や労働環境の改善に取り組まないことも珍しくありません。

そのため、一人前になるまでは厳しい環境の中で働かなくてはいけないことが多く、辞めたいと思うようになってしまうのです。

結婚や妊娠

お礼奉公中に辞めたい理由には、結婚や妊娠もあります。お礼奉公は3~5年。看護学校を21歳で卒業し、22歳から働きだした場合、お礼奉公が終わるころは25~27歳になっています。

20代半ば~後半の女性が結婚・妊娠するのは何もおかしいことではありません。むしろ適齢期です。だから、お礼奉公中でも結婚や妊娠を理由に辞めたいと思うことがあるのです。

ちなみに、お礼奉公中に妊娠して、退職せずに産休・育休に入った場合、産休・育休の期間はお礼奉公の期間にはカウントされないので、育休から復帰後にまたお礼奉公を続けなければいけないことがほとんどです。

辞められないから辞めたくなる

看護師がお礼奉公中に辞めたい理由の4つ目は、辞められないからです。お礼奉公中は3~5年は辞められません。

「辞められない、でも辞めたい」と少しでも思ってしまうと、人間の心理としてどんどん辞めたい気持ちが膨らんでいきます。

辞められないからこそ、辞めたい気持ちが加速するのです。

ダイエット中のことを思い出してみましょう。ダイエット中は、ケーキや揚げ物などカロリーが高いものは食べられませんよね。

でも、「食べられない。食べちゃダメ!」と思えば思うほど、食べたい気持ちが大きくなったという経験はありませんか?お礼奉公中に辞めたいという気持ちが膨らんでいくのは、ダイエット中の心理と同じなのです。

辞められないからこそ、「辞めたい」と少しでも感じると、その辞めたい気持ちがどんどん大きくなってしまうんですね。

ここまでの話をまとめると…

  1. 精神病棟、療養型病棟、クリニック(というより村の診療所)の場合、スキルが身につかない焦りが生じる
  2. 「どうせお礼奉公中だから辞めないでしょ」と思われ、一人前になるまでは厳しい環境で働かなくてはいけない
  3. お礼奉公中でも結婚や妊娠を理由に辞めたい
  4. 辞められないからこそ、辞めたい気持ちが加速する

これだけ辞めたいと思っているのに辞められないお礼奉公って、そもそも違法じゃないの?と思う方もいるかとおもいます。それでは今度はお礼奉公の違法性について考えてみましょう。

看護師のお礼奉公は違法じゃないの?

看護師のお礼奉公は、法律的にどうなのでしょうか?「お礼奉公なんて前時代的だし、違法じゃないの?」と思っている看護師さんもいると思います。

看護師のお礼奉公は違法なのかどうなのかを見ていきましょう。

看護師のお礼奉公は基本的に合法です!

看護師のお礼奉公は、基本的には合法です。看護師確保のために、自治体が看護師のお礼奉公制度を作って、看護学生を募集しているところもあるので、違法ではありません。自治体が違法なことをするはずはないですよね。

でも、時々「お礼奉公って違法らしいよ」という噂を聞くこともあります。なぜ、看護師のお礼奉公は違法と言われることもあるのでしょうか?

それは、次の2つの法律に違反しているのではないかと言われているからです

憲法第22条=職業選択の自由

憲法第22条では、職業選択の自由を認めています。でも、お礼奉公は病院側が指定したところで働かなくてはいけないので、職業選択の自由が侵害されているのではないかと主張する人もいます。

確かに、お礼奉公は自分で働く場所を選ぶことはできませんが、奨学金を借りると自分で決めた時点で、お礼奉公が生じることを了承している=自分で選択していると解釈されるので、これは憲法に違反しているわけではないというのが一般的な考え方です。

労働基準法第16条=賠償予定等の禁止

労働基準法第16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定められています。

そこで「お礼奉公中に辞めると、奨学金を一括返済しなければいけないのは、この労働基準法第16条に違反しているのではないか?」とも考えられます。

しかし、これは奨学金は賠償金ではなく、あくまで貸していた奨学金を返済してもらうだけですから、特に労働基準法に違反しているわけではないのです。

お礼奉公を理由に辞めさせないのは違法。でも返済の義務はある

では、お礼奉公は完全に合法なのかというと、そうとは言い切れない部分もあります。お礼奉公に関して違法なのは、お礼奉公中に辞めたいのに辞めさせてもらえないことです。

お礼奉公中でも辞めたい時は、いつでも辞めることができます。民法627条では、労働者はいつでも辞めることができるとしているのです。

だから、お礼奉公を理由に辞めさせてもらえないのは違法です。ただ、お礼奉公中に辞めることができた場合、奨学金返済の義務は残りますので、そこは注意してください。

看護師がお礼奉公中に辞めたい時の3つの対処法

看護師がお礼奉公中に辞めたい時にはどうすれば良いのでしょうか?お礼奉公中に辞めたい時の対処法を3つご紹介します。

お礼奉公中に辞めたい時の対処法は以下の3つです。

  1. まずは病院と交渉する
  2. 親に立て替えてもらう
  3. 立替一括返済をしてくれる病院へ転職する

それでは、この3つの辞めたい時の対処法について詳しく見ていきましょう。

まずは病院と交渉する

お礼奉公中に辞めたい時には、まずは病院と交渉しましょう。師長に辞めたいことを告げて、奨学金の返済をどうするかを交渉するのです。

一部免除を主張

お礼奉公中に辞めたい時には、奨学金返済の一部免除を主張しましょう。例えば、あなたが総額300万円の奨学金を借りていて、お礼奉公期間は3年だったとします。

そうすると、1年間働くと100万円を返す計算になりますよね。あなたが、1年働いて退職する場合、100万円は返したことになるから、返済すべき金額は300万円ではなく、200万円のはずだと主張しましょう。

「退職時は全額返済」と決められていても、このように主張すれば、一部を免除してくれる可能性はあります

分割払いをお願いする

次に、一括返済ではなく分割返済をお願いしましょう。退職後に、またすぐ再就職して看護師として働いていれば、一括返済は無理でも、分割返済ならできますよね。

具体的な返済金額、返済方法などを提案して、分割払いを交渉してみましょう。

辞めさせてくれない時には労働基準監督署へ相談

師長に辞めたいことを伝えても、「お礼奉公中なんだから、辞められるはずないでしょ!絶対に辞めさせないわよ!」と言われたら、近くの労働基準監督署に相談しましょう。

先ほども言いましたが、お礼奉公中でも辞めることは可能です。辞めさせないのは、法律違反なのです。

だから、労働基準監督署に相談してみると、労働基準監督署の方から病院へ退職を認めるように連絡してくれます。

病院としては、労働基準監督署ににらまれると、残業代やらシフトやら痛い部分を突かれることがあるので、反論せずに退職を認めてくれるはずです。

ついでに、一部免除や分割払いについても相談してみると良いかもしれません。

親に立て替えてもらう

お礼奉公中に辞めたい時には、ご両親に相談して立て替えてもらうのも良いと思います。

お礼奉公中に辞めたいことをご両親に相談するのは嫌だという人もいますよね。

せっかく看護師になったのに、お礼奉公中に辞めるなんて親をガッカリさせてしまうと思う人もいるでしょうし、社会人になったのに親に借金を申し込むなんて恥ずかしいと思う人もいるでしょう。

でも、100万円以上を一括で払わないと退職できない状況にいる人も少なくないでしょう。若手看護師が100万円以上を一括で用意するなんて、ハッキリ言って無理です。

ではどうするか?カードローンや消費者金融からお金を借りますか?安易に、そのようなところからお金を借りてしまうと、利息だけでドンドン借金が増えていって、どうにもならなくなる可能性があります。

あなたが、借金でそんな状態になったら、一番悲しむのはご両親です。だから、ご両親の経済状況にもよりますが、可能ならご両親に立て替えてもらうようにしましょう。

転職後に、あなたがきちんとご両親に返済していけば良いのです。立替をお願いする時には、返済計画も一緒に伝えると良いですよ。

立替一括返済をしてくれる病院へ転職する

お礼奉公中に辞めたい看護師さんの最後の手段は、立替一括返済をしてくれる病院を探して、そこに転職することです。

分割返済を許してもらえず、ご両親に立替をお願いするのも厳しいという場合は、立替一括返済をしてくれる病院を探して、転職しましょう。

あなたの奨学金を肩代わりしてくれる病院を探すのです。立替一括返済をしてくれる病院は、一括返済のためのお金を用立ててくれます。

立替てもらったお金は、一定期間働けば返済を免除してくれる病院もありますし、給料から天引きして分割で返済していく病院もあります。

立替一括返済をしてくれた病院でお礼奉公をするのか、それとも分割で返済していくのか、どちらなのかはとても重要なことですので、立替一括返済してくれる病院だからいって、飛びつかずに転職先のお礼奉公期間や返済方法はきちんと確認しておきましょう。

ここまでの話をまとめると…

  1. 「退職時は全額返済」と決められていても、一部を免除してくれるように主張する
  2. 具体的な返済金額、返済方法などを提案して、分割払いを交渉する
  3. 労働基準監督署の方から病院へ退職を認めるように連絡してもらう
  4. カードローンや消費者金融からお金を借りたら、親が悲しむのでそれなら親から借りる
  5. 奨学金を肩代わりしてくれる病院を探し、お礼奉公期間や返済方法も確認する

まとめ

看護師のお礼奉公のメリット・デメリットと、お礼奉公中に辞めたい理由、法律的な問題、辞めたい時の対処法をまとめました。

お礼奉公中の看護師が辞めたい時の最終手段は、立替一括返済をしてくれる病院を探すことです。

ただ、立替一括返済制度がある病院は、自分で探すことはできません。なぜなら、「うちは立替一括返済してあげますよ!」とは公に発表していないからです。

そんなことを公にしていたら、お礼奉公制度がある病院から袋叩きに遭いますので、公にできないのです。

立替一括返済してくれる病院を探すには、転職サイトを使いましょう。立替一括返済制度があるかどうかと立て替えてくれたお金の返済方法は、担当コンサルタントが調べてくれます。

コンサルタントが立替一括返済制度がある病院をピックアップしてくれるので、その中からあなたに合った病院を選ぶことができますよ。

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