整形外科に看護師が転職|仕事の特徴やメリット・デメリット、向いている人、注意点
整形外科に看護師が転職するなら、整形外科の仕事の特徴やメリット・デメリット、向いている人、注意点を知っておきましょう。
皆さんは整形外科で働く看護師には、どんなイメージを持っているでしょう?
「骨折している人の看護って面倒くさそう」、「なんか地味な気がする」と思っているかもしれませんね。整形外科について、この機会にきちんと知っておきましょう。
この記事の内容はこれ!
整形外科に看護師が転職した時の給料の目安
整形外科に看護師が転職した時の給料は、ほかの診療科で働いた時とほとんど変わりません。
東京都の場合、経験5年目だと次の年収が目安になります。
- 夜勤ありの病棟=年収450~500万円
- 日勤のみの外来=年収400~450万円
- クリニック=年収380~400万円
東京都の整形外科病院の給料の一例をご紹介します。
- 葛飾区のA病院=年収462万4000円(基本給25万円、主要手当5万2000円)
- 江戸川区のB病院=年収491万3820円(基本給21万9400円、主要手当11万6000円)
整形外科で働いたから特別に高いというわけでもなく、逆に給料が安くなるというわけでもありません。
整形外科の看護師の仕事の特徴を知っておきましょう!
整形外科の看護師の仕事の特徴を知っていますか?整形外科への転職を考える前に、整形外科の仕事の特徴をしっかり押さえておきましょう。
まずは、整形外科病棟で働く看護師の日勤スケジュールをご紹介します。
- 9:00 申し送り
- 9:15 オペ出し、医師回診の介助、清潔ケア
- 10:00 バイタルチェック、入院受け入れ準備
- 11:00 オペ迎え
- 11:30 食前・食後の内服薬の確認、血糖値測定、インスリン準備
- 12:00 昼食介助
- 13:00 昼休憩
- 14:00 午後のオペ出しやリハビリ介助
- 15:30 オペ迎え
- 16:30 看護記録の記載
- 17:15 申し送り
- 17:30 勤務終了
次に、整形外科の看護師の仕事の特徴を見ていきましょう
- 比較的若い患者さんが多い
- 需要が大きい診療科
- 整形外科特有の業務が多い
この3つの特徴を知れば、整形外科の看護師の仕事が具体的に見えてくると思います。
仕事の特徴1:比較的若い患者さんが多い
整形外科の仕事の特徴は、年齢的に若い患者さんが多いことです。内科病棟は入院患者さんのほとんどが高齢者ですよね。でも、整形外科の患者さんは、もちろん高齢者もいますが、交通事故やスポーツ中の怪我などで若い患者さんも比較的多いんです。
仕事の特徴2:需要が大きい診療科
整形外科の仕事の特徴として、需要が大きいことも挙げられます。
整形外科はなんとなく「地味、マイナー」というイメージがあるかもしれません。死に直結するような病気が少ないからかもしれませんね。
でも、整形外科は生活に密着した需要の大きい診療科なんです。肩こりや腰痛は、整形外科の領域です。肩こりや腰痛も持っている看護師さんも多いですよね。
厚生労働省の調査によると、自覚症状がある人の症状の中で、肩こりと腰痛は男女ともに1位と2位です。
整形外科は、日常生活を送る上で欠かすことができない診療科、つまり需要が高く、生活に密着している診療科と言えるでしょう。
仕事の特徴3:整形外科特有の業務が多い
整形外科の仕事の特徴の3つ目は、整形外科特有の業務が多いことです。
整形外科では牽引や創外固定、ギプス・シーネ固定、関節内注射の介助など、整形外科でしか使わないけれど、整形外科では頻繁に使うという治療方法がたくさんあります。
整形外科に転職すると、見たことも聞いたこともないような治療方法や看護方法を勉強しなければいけません。
整形外科に看護師が転職するメリットって何?
整形外科に看護師が転職するメリットは次の7つがあります。
- 患者さんの回復を実感できる
- 明るい雰囲気の中で働ける
- 幅広い年代の看護ができる
- 最新の技術が学べる
- オペ前後の看護を経験できる
- 介護施設等の業務に活かせるスキルを身につけられる
- 多職種と連携を取りながら働ける
この7つのメリットを詳しく説明していきます。
メリット1:患者さんの回復を実感できる
整形外科に看護師が転職するメリット、まず最初のメリットとしては患者さんの回復を実感できることです。
整形外科の多くの疾患が、レントゲンで確認することができます。入院当初のレントゲンと退院前のレントゲンを見比べれば、あまりレントゲンに詳しくない看護師さんでも、その回復具合をきちんと確認することができます。
また、寝たきりの状態からギャッジアップ可、車イス可、歩行可と少しずつADLが着実にアップしていくのを見ると、患者さんの回復や看護の成果を実感し、やりがいを感じることができるでしょう。
メリット2:明るい雰囲気の中で働ける
整形外科に看護師が転職するメリット、もう1つは職場の雰囲気についてです。
整形外科は、命に関わるような疾患は比較的少なく、意識がハッキリしている患者さんがほとんどです。
また、若い患者さんも多いですので、ほかの病棟よりも明るい雰囲気の中で働くことができます。
メリット3:幅広い年代の看護ができる
整形外科に看護師が転職するメリットとしてもう1つ、患者さんの年齢層についてです。
整形外科は、高齢者もいますが小中学生もいますし、20代、30代、40代、それ以上の年代と幅広い年代の患者さんが受診します。
普通は、小中学生の看護は小児科でないとできませんが、整形外科なら子供の看護もできますし、大人そして高齢者の看護も経験することができます。
メリット4:最新の技術が学べる
整形外科はほかの診療科に比べて、最新の治療方法がどんどん導入されている診療科です。
オペの術式もどんどん新しくなりますし、人工関節や義肢の技術の進化も目を見張るものがあります。
そのため、整形外科で働いていると、常に新しい医療技術に触れながら働くことができるのです。
メリット5:オペ前後の看護を経験できる
整形外科病棟は、オペ目的で入院している人がほとんどです。
そのため、毎日何件もオペ出し・オペ迎えがありますので、自然とオペ前後の看護スキルを身につけることができます。
整形外科のオペはオペ直後も全身管理が必要であるものは少ないので、オペ前後の看護をしたことがない外科初心者の看護師さんでも仕事に慣れていくことができると思います。
メリット6:介護施設等の業務に活かせるスキルを身につけられる
整形外科で働くメリットの6つ目は、日常生活援助に関する高いスキルを身につけられることです。
整形外科の患者さんはADLが低いので、看護師はほかの診療科よりも移動介助や排せつ介助、入浴介助、食事介助などの仕事が多くなります。
そのため、整形外科で働くと、介護施設や療養型病棟、デイサービスなどに転職しても、整形外科での経験を活かしながら、スムーズに仕事をしていくことができるでしょう。
メリット7:多職種と連携を取りながら働ける
整形外科の患者さんはリハビリが必須になります。
そのため、整形外科の看護師はPTやOTと連携を取り、病棟内でできるリハビリなどを確認しなければいけません。
整形外科で働いていると、ほかの診療科よりもリハビリスタッフとコミュニケーションを取る機会が多く、チーム医療をしていると実感できるでしょう。
整形外科に看護師が転職するデメリットは?
整形外科に看護師が転職するデメリットは次の4つがあります。
- 力仕事が多い
- 忙しくバタバタしていることも
- ほかの診療科に移った時に慣れるまでに時間がかかる
- 患者さんとのコミュニケーションが大変
転職に失敗しないためにも、メリットだけではなく、デメリットもしっかり押さえておきましょう。
デメリット1:力仕事が多い
整形外科に看護師が転職するデメリットとしては、力仕事が多いことが挙げられます。
整形外科の患者さんは、骨や靭帯など運動器官に関する疾患を持っていますので、ADLが制限されていることが多く、体位交換や移動介助などの力仕事が、ほかの診療科に比べると多い傾向にあります。
デメリット2:忙しくバタバタしていることも
整形外科に看護師が転職するデメリットとしてもう1つ、職場の忙しさがあります。
整形外科は、ADL介助やリハビリなどでちょこちょこと時間を取られることが多いんです。
ほかの病棟でも、同じような業務内容はありますが、整形外科はそういうことに時間を割く割合が高く、それ以外にもオペ出し・オペ戻りの対応、緊急入院の対応もあります。
クリニックも患者が多くて、診察終了時間が過ぎても、仕事が終わらないことはよくあります。
特に、午後診は授業や部活動終了後の学生や仕事終わりのサラリーマンが受付終了間際に駆け込んでくることも多いです。
そのため、整形外科はいつも忙しくバタバタしている傾向にあります。
デメリット3:ほかの診療科に移った時に慣れるまでに時間がかかる
先ほど説明しましたが、整形外科の治療方法や看護は整形外科特有のものが多いです。
また、オペは多いものの、命に関わるような重症患者はあまり多くありません。
そのため、整形外科で長く働くと、看護師として「ガラパゴス化」することがあります。
そのため、ほかの診療科に移ると、カルチャーショックのようなものを受けて、なかなか仕事に慣れることができず苦労することがあります。
デメリット4:患者さんとのコミュニケーションが大変
整形外科で働くと、患者さんとのコミュニケーションに苦労することが多いです。
整形外科の患者は基本的に意識がクリアです。でも、体はうまく動きません。
そのため、ストレスを抱えていることが多く、看護師に八つ当たりしてくることもあります。
また、男性患者の中には暇つぶしや興味本位で若い女性看護師をからかったり、セクハラ発言のようなことを言ってくることもあるんです。
さらに、整形外科の患者さんの中には脊髄損傷や四肢切断などで、重い後遺症が残る人もいます。
そのような患者さんやその家族の精神的なケアをするのは、簡単なことではありません。
整形外科の看護師は、患者さんとのコミュニケーションや関係性の築き方に悩むことも少なくありません。
整形外科の仕事に向いている看護師は?こんな方におすすめです!
整形外科の看護師の仕事は、どんなタイプの方に向いているのでしょうか?具体的にどういう看護師さんにおすすめの仕事なのか、例を挙げてみたいと思います。
- 患者さんと話し合いながら看護をしたい人
- 幅広い年代の看護をしたい人
- テキパキと明るく働きたい人
- リハビリ看護に興味がある人
整形外科の仕事に向いている人=患者さんと話し合いながら看護をしたい人
整形外科の仕事に向いているのは、患者さんと密に関わりたい人です。
整形外科の患者さんは意識がハッキリしている人が多いですので、患者さんと話しながら、患者さんの意向を取り入れて、看護計画を立てることができます。
看護師主導ではなく、患者さん主導の看護をしたい、患者さん一人ひとりに合わせた看護をしたいという人は、整形外科がピッタリです。
整形外科の仕事に向いている人=幅広い年代の看護をしたい人
整形外科の仕事に向いているのは、特定の年代の看護だけでは物足りない人です。
整形外科は、子供から高齢者まで幅広い年代の患者さんがいます。そのため、いろいろな難題の患者さんの看護をすることができ、看護師として貴重な経験ができ、看護の幅も広がります。
特定の年代だけではなく、幅広い年代の看護をしたいという人には、整形外科をおすすめします。
整形外科の仕事に向いている人=テキパキと明るく働きたい人
整形外科は忙しいというデメリットがありますが、その忙しさに慣れてしまえば、テキパキと働くことができます。また、病棟内明るい雰囲気ですので、体育会系のノリでテキパキ明るく働きたいという人は、整形外科での仕事に向いています。
整形外科の仕事に向いている人=リハビリ看護に興味がある人
整形外科の仕事に向いている人は、リハビリ看護に興味がある人です。整形外科では整形外科疾患の治療をするだけではなく、同時にリハビリも行っていかなければいけません。
治療の介助や日常生活援助だけでなく、PTやOTと連携を取りながらリハビリに携わり、患者さんの回復のサポートをしたいと思っている人は整形外科に向いていると思います。
整形外科への転職を看護師が成功させる秘訣と求人選びの注意点って?
整形外科への転職を看護師が成功させるための求人選びの秘訣・注意点は、次の4つがあります。
- どういう患者さんが多いかをチェック!
- オペの件数をチェック!
- 残業時間をチェック!
- 総合病院か専門病院かクリニックか
この4つの秘訣・注意点を知っておけば、あなたの希望に合った整形外科に転職することができるはずです。
注意点1:どういう患者さんが多いかをチェック!
整形外科の求人選びの注意点、まず一つ目は患者さんの傾向を知ることです。
整形外科でも、どういう疾患が多いのかをチェックしておきましょう。病院によって、得意な疾患は違います。疾患が違えば、若い患者さんが多かったり、高齢者が多かったりと患者さんの傾向も違ってくるんです。
また、脊髄損傷の患者さんや骨盤骨折の患者さんが多いと、入院期間が長くなり、力仕事も増えてきます。
あらかじめ、その病院にはどういう疾患の患者さんが多いのかをチェックしておきたいですね。
注意点2:オペの件数をチェック!
整形外科の求人選びの注意点、次はオペについてです。
1日にオペがどのくらいあるかもチェックしておきましょう。オペ件数が多ければ多いほど、忙しい傾向にあります。それでなくても、整形外科は忙しいところが多いですので、オペ件数は事前に確認しておくと良いですよ!
オペ件数が多いと、その分オペ後の全身管理や合併症予防のための看護などの経験を積む機会が増えますので、整形外科で働きつつオペ後の看護の勉強もしたい人は、オペ件数が多いところや全身麻酔でのオペが多いところなどを選ぶと良いでしょう。
注意点3:残業時間をチェック!
整形外科の求人選びの注意点、3つ目は残業についてを知ることです。
整形外科が忙しいというのを知った上で転職したとしても、当然のように毎日残業があったら、ウンザリしてしまいますよね。残業時間は月にどのくらいあるのかは、重要なチェックポイントです。
注意点4:総合病院か専門病院かクリニックか
整形外科で働く場合、総合病院の整形外科で働くのか、整形外科専門病院で働くのか、整形外科クリニックで働くのかの3つの選択肢があります。
それぞれ特徴が違いますので、あなたに合ったところを選ぶようにしましょう。
- 総合病院の整形外科
- 整形外科専門病院
- 整形外科クリニック
総合病院の整形外科
総合病院の整形外科は、整形外科疾患を一通り経験できる以外に、ほかの身体的な疾患を合併している患者が入院していることが多いことや混合病棟になっていることもあるので、整形外科以外の看護も経験できるというメリットがあります。
整形外科専門病院
整形外科専門病院は、総合病院の整形外科よりももっと専門性が高く、さらに最新の技術を導入していることがあります。
また、回復期リハビリテーション病棟を持っていたり、通院リハを行っているところが多いため、急性期だけではなくリハビリ期の患者さんに関わる機会も多いです。
整形外科クリニック
整形外科クリニックは病棟よりもさらに若年層の患者さんが多いことが特徴です。スポーツ整形に特化したクリニックもあります。
整形外科の看護師求人に強い転職サイト2社の情報を見る
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整形外科に強い転職サイトを2つご紹介します。
- 整形外科に強い転職サイトと言えばナース人材バンク!
- マイナビ看護師も整形外科に強みがある!
整形外科に強い転職サイトと言えばナース人材バンク!
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そのため、総合病院の整形外科で働きたい人も、最新の技術を導入しているような整形外科専門病院で働きたい人も、小規模な整形外科クリニックで働きたい人も必ずあなたに合った求人を見つけることができるでしょう。
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この記事を書いた人
看護師 rina
- 取得資格:看護師、保健師
- 出身:茨城県
- 年齢:34歳
- 看護師経験:大学病院、一般病院、介護老人保健施設、巡回健診、イベントナース
- 経験がある診療科:救命救急センター、一般内科
看護大学を卒業後、都内の大学病院で5年間勤務。その後は、一般病院の療養型病院で2年間勤務しました。大学病院に勤務している時には、バイトで介護施設などでの勤務経験もあります。1児の母となった現在は、看護師ライターとして看護師の皆さんが、自分に合った働き方ができるように、転職やライフスタイルのアドバイスに関する記事を執筆しています。